政経倶楽部【東京】第103回例会 7/4木(朝食会)

日時:2013年7月4日  開会:~ (開場:)
会場:ルポール麹町 東京都千代田区平河町2-4-3 TEL03-3265-5365 有楽町線「麹町駅」 1番出口より徒歩3分. 有楽町線・半蔵門線 「永田町駅」 5番出口より徒歩5分.
 

パナソニックはなぜだめになったか~組織運営の原点は経営理念にある

■講演 中博氏 経営コンサルタント 若手起業家育成「中塾」主宰
「パナソニックはなぜだめになったか~組織運営の原点は経営理念にある」


【プロフィール】
昭和20年大阪市生まれ。京都大学経済学部卒業後、松下電器産業(現パナソニック)入社。経営企画室にて本社事業計画はじめ主要商品プランニングを担当。この間松下幸之助氏の謦咳に接する。関西経済連合会に若くして主任研究員として出向、21世紀大阪計画、国有事業の民営化の先導となる。
経団連プロジェクト、自由主義経済プロジェクト等を担当、国鉄民営化につなげる。その後サントリー、森ビル、三菱商事など多くの企業コンサルタントを務め、廣済堂出版社長も歴任。細川護煕氏の日本新党旗揚げにも貢献、日本新党のネーミングも手掛ける。
現在は若手経営者を育成する「中塾」を主宰し、全国の若き経営者たちに日本再生のための新たな志を訴え続けている。デンタルサポート(株)顧問。
著書に「雨が降れば傘をさす」アチーブメント出版。


●「気づき」を得て、半年続ければポニショニングが変わる
私は、経営コンサルタントを生業としているが、この4、5年は中堅中小企業のアドバイスを主にさせていただいている。
今日のお話で、1つでも気づきの原点をつかんでいただければ幸甚だ。
ご自身の体温と波動にあうものを、半年続けていただければ、必ず、経営者、リーダーとしてのポニショニングが変わってくるはずだ。

●リーダーの仕事は、予兆
「リーダーは予兆ができなければならない」。
これは英国・チャーチルの言葉だ。松下幸之助も同じことを言っていた。
今日の午後何が起こるか、明日何が起こるか、来週何が起こるか、来年何が起こるか…。
例えば、社員の顔を見て「こいつ午後調子悪くなるな」と。
松下幸之助はこういうところも優れていた。私の中塾では、予兆の訓練もする。
訓練が大事だ。
リーダーたるもの、予兆できなければリーダーである意味がない。その予兆が組織を救っているのだ。
さらに大切なことは、その予兆が外れた場合、なぜはずれたか冷静に反省し、説明できるかだ。外れたロジックを反省することによって、自分の予想回路を確実にすることが経営の一つのあり方だ。政治家もしかり。
今の日本の政治家で、自分の波動の中で、未来を明確に意識している人は、ほぼ皆無だ。今しか生きていないから今のような日本ができあがってしまった。

●5つの「どう」と4つの習慣
 経営も政治も5つの「どう」と4つの習慣ができれば完璧だ。これに尽きる。
① 「今、どこにいるのか。どうあるのか」(現状認識)
② 「どうなりたいのか」(使命、ミッション)
③ 「どうするのか」(戦略、ビジョン)
④ 「今、どう動いているのか」(現状観察)
⑤ 「どうなったのか」(結果)
 この5つのうち1つでも抜けたら組織のトップとして失格だ。
最も抜けがちなのが、①の現状認識「今、どこにいるのか」ということだ。
例えば、皆さんは、今の日本経済がどうなっているのか、世界の中でどんな位置にあるのか、それを明確に語れるだろうか。政治家でも語れる人はなかなかいない。
②の「自分がどうなりたいのか」という使命。これが強いパッションの中核となる。そしてそのために、どうするのかという具体的な戦略③が実際に動く。動き始めた時、各部隊がどう動いているのか④。最後に、その結果を見る⑤。
 難しいことは何ひとつない。全ての行動がこの5つの「どう」に集約される。
これを毎日チェックしているだけで、進化する。

●「なぜ?」「あるく、みる、きく」「異と交わる」「すぐやる(気づいたら)」
 さて、4つの習慣。経営の基本はまず「なぜ?」という好奇心を持つことに始まる。子供はわからないことは聞きまくる。その行為を純粋にできる。
 大人もそうであるべきだ。自ら現場に出かけ、自分の目で見て、自分の耳で聞いて、考えて、そして決断すればよい。
 5つの「どう」と4つの習慣。特に「あるく、みる、きく」を唱えるだけで、必ず実行できるようになる。
 「あるく、みる、きく」。そして「異と交わる」。仲間と議論しているうちは見えてこない。宇宙から見れば地球はよく観察できる。外に出ないと見えない。
 そこではじめて「気づき」がでる。気づいたら「すぐ、やる」
 そこにゴミが落ちていたらすぐ拾う。名経営者は、皆、そうだ。

松下幸之助もしかり。宴会会場に着いたらまず会場をチェックする。御膳が1ミリでもゆがんでいたら「おい、紐もってこい。ゆがんでいるやないか」と叱って、すぐに直させた。
 宴会が終わってから叱っても意味がない。そこが違う。

●「考える」
5つの「どう」と4つの習慣、プラス「考える」で、必ず、「気づき」がある。気づくとすぐ動く。これら自動装置の全体構造が一つでも欠けたら、「何をやるべきか」のテーマにたどりつけない。
皆さんはいろいろな経営書を読むが、あえて言えば、多くを読む必要はない。
皆さんは、長年の経営経験があり、学校も行かれて、常識もある。自分の頭で考えればよい。
「あるく、みる、きく」を、松下幸之助は徹底した。
絶望の底で生まれて育ち、絶望の中で20歳を迎え、絶望の末に希望を見出して、松下電器製作所を作った。小学校4年生までしか学校に行かず、大人になっても病弱で、仕事に1日出たら1日休むといった松下幸之助がなぜ名経営者になれたか。それは、素直な気持ちで「あるく、みる、きく」を徹底したからに他ならない。松下幸之助は、今日明らかになっている最先端の経営理論や脳生理学を、当時から自然と体得していたのだと、つくづく思う。

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