政経倶楽部【東京】第140回例会(朝食会) 8/4木
日時:2016年8月4日 開会:~ (開場:)会場:ルポール麹町 東京都千代田区平河町2-4-3 TEL03-3265-5365 有楽町線「麹町駅」 1番出口より徒歩3分. 有楽町線・半蔵門線 「永田町駅」 5番出口より徒歩5分.
南洲翁遺訓~西郷隆盛からのメッセージ
■講演 岡田幹彦氏 歴史人物研究家・日本政策研究センター主任研究員
「南洲翁遺訓~西郷隆盛からのメッセージ」
【岡田幹彦氏プロフィール】
昭和21年北海道生まれ。国学院大学中退。学生時代より、日本の歴史、人物の研究をつづけ、月刊『明日への選択』に多くの人物伝を掲載中。『歴史街道』『歴史通』などにも寄稿。平成21年~22年(毎週)産経新聞に「元気のでる歴史人物講座」を連載(103回)。全国各地で歴史人物の講演活動を行っている。
著書は、『東郷平八郎』『乃木希典』『小村寿太郎』(展転社)、『日本を護った軍人の物語』(祥伝社)、『日本の誇り103人』(光明思想社)、『二宮尊徳』『維新の先駆者』(日本政策研究センター)ほか多数。
『南洲翁遺訓』(なんしゅうおういくん)は、西郷隆盛の遺訓集。
遺訓は41条、追加の2条、その他の問答と補遺から成る。西南戦争によって賊名を背負ったまま死んだ西郷隆盛の名誉が回復した年、西郷に心服していた旧庄内藩の人々によって西郷の言葉を残すべくまとめられた。
南洲は、西郷隆盛の雅号。「南洲翁」とは西郷隆盛に最敬意を表した呼び方。
■参考図書
『西郷南洲遺訓』岩波文庫
『新訳 南洲翁遺訓 西郷隆盛が遺した「敬天愛人」の教え』PHP新書
●西郷隆盛は、近代日本の指導者の第一人者
歴史人物の評価は難しい。評価が定まるには100年以上かかると言われる。西郷隆盛が偉大な人物であることは、おおかたの人が認めているにも拘らず、これまで東大教授など学者の評価は低かった。
ところが最近、東大名誉教授の坂野潤治氏は、近著『西郷隆盛と明治維新』(講談社現代新書)の中で、「幕末から戦前昭和にかけての80年間に活躍した政治家で最も尊敬するのは西郷隆盛だ」と書いている。ようやく西郷が正しく評価され始めるようになった。我が意を得たり、である。
西郷隆盛という人物の高邁な志は、残された手紙、詩歌(特に漢詩が秀逸)、そして『南洲翁遺訓』などから知ることができる。
本日は、『南洲翁遺訓』の中から代表的な文章を紹介しながら、西郷の高い精神性についてお話したい。
◆命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は始末(しまつ)に困(こま)るものなり。
この始末に困る人ならでは、艱難(かんなん)を共にして国家の大業は成し得られぬなり。
(30条)
大意:【「命も惜しくない、名誉もいらない、官位も金もいらない」という人物ほど、(権力側から見て)、手に負えないものはない。このような手に負えない人物でなければ、どんな苦しいことにも打ち勝って、国家の大業を成し遂げるということはできないものだ。】
大変有名な言葉だ。これは始め山岡鉄舟について語ったもの。官軍が江戸に向かい静岡(駿府)まで来た時、幕臣である山岡鉄舟は、主君の徳川慶喜の恭順(朝廷、官軍に従うこと)を西郷に伝えるためやってきた。山岡の命がけの訴えに西郷も心打たれた。この静岡で行われた西郷と山岡鉄舟の予備会談が、江城無血開城へと繋がった。江戸城無血開城は日本史上、最高の場面だ。
この時代、命がけだったのは山岡鉄舟だけではない。吉田松陰はじめ多くの志士たちが、国家の大業、明治維新に命を捧げた。
これこそが国家の最高指導者に求められる精神だ。
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