政経倶楽部【東京】第117回例会(朝食会) 9/4木

日時:2014年9月4日  開会:~ (開場:)
会場:ルポール麹町 東京都千代田区平河町2-4-3 TEL03-3265-5365 有楽町線「麹町駅」 1番出口より徒歩3分. 有楽町線・半蔵門線 「永田町駅」 5番出口より徒歩5分.
 

美しい心、日本の心

■講演 寺岡 賢(てらおか まさる)氏  公益財団法人 修養団講師

「美しい心、日本の心」


【寺岡 賢(てらおか・まさる)氏プロフィール】

昭和48(1973)年、三重県生まれ。40歳。麗澤大学国際経済学部卒業。
不動産会社営業職を経て、家業の林業に従事。平成15年、財団法人修養団に奉職。現在、伊勢道場・伊勢青少年研修センターにて「みがく講習会(旧称:伊勢講習会)」をはじめとした各種研修会や青少年活動の指導にあたると共に各地での講演等にも、出講している。
※修養団=創立108年。日本における社会教育団体のパイオニア的存在。
初代後援会長には渋沢栄一、歴代顧問に安岡正篤、松下幸之助らも名を連ねる。
現在は全国各地、海外等で青少年の野外キャンプなど様々な活動も行っている。


●我々の祖先は、何を大事にしてきたのか

 昨年に続いて、2度目の講演のご縁をいただきありがたい。
本日は、伊勢神宮のお話、また後半にはブラジルとご皇室の関係など申し上げながら、我々の祖先が、古来、何を大事にしてきたかということについて、ご一緒に見つめ直す時間にさせていただければと思う。


●天皇皇后両陛下が伊勢神宮をご参拝

 本年3月に天皇皇后両陛下が伊勢神宮をご参拝された。大きく報道されたが、これは、昨年行われた20年に一度のご遷宮(せんぐう)のご報告と感謝の祈りを捧げられる為、お参りされたものだ。
その時、三種の神器(さんしゅのじんぎ)のうち、剣(つるぎ)と勾玉(まがたま)も天皇皇后両陛下と共に伊勢神宮に来られたことはご存じだろうか。 
三種の神器は、天照大神様(皇室の祖先)が、「これを受け継ぐ者が天皇の位に就く者だ」と授けられた皇室継承の見印だ。
これを剣璽動座(けんじどうざ)といい、戦前までは天皇陛下が行幸される時、常に一緒に動いていた。(剣璽=剣はつるぎ、璽は勾玉のこと)。


●最も大事な鏡。自分を映しだし、自分を見つめるもの

三種の神器の中でも、天照大神様は、八咫の鏡を最も大事なものとし、「これを私自身と思うように」と孫のニニギノミコトにおっしゃった。


 鏡は自分を映しだしながら自分を見つめ直すものだ。やまとことばでは、かがみの「か」は明るいという意味。かあさん(母さん)の「か」と一緒。かっかと太陽が照らす我が家の太陽のような人=おかあさんだ。「が」は暗いという意味。「あの人は、がが強いよね」と言ったりする。「み」は我が身の「み」。もうひとつ「うみ(海)」の「み」。
 誰もが、自分自身の中に、明るい部分と暗い部分を持っている。その暗い「が」の部分を禊(みそぎ)で見つめ直すのが大事なことだ。
 喜べる時喜ぶことは誰にもできる。だが、喜べない時、辛い時、苦しい時に自分を見つめ直しながら、心を建てかえていくと「が」がとれて「かがみ」から「かみ」になる。つまり、神は遠いところにいて私たちを見守ってくれるのも神だが、わが身のうちにある美しい心根の部分が光り輝いていくことが、神への心へと近づく第一歩だといえる。


●祈りとは①感謝②誓い③公を祈る事。「自分のことは申し上げてはいけないよ」

 ゆえに、お墓参りをする時には、自分のことではなく大きな広い心でお参りをさせていただくことが大切となる。自分の事を願うことは誰にもできる。これはお願いであり、祈りとは異なる。祈りとは、人の持つ意思、思いを天に届けることだ。
 人は生まれた時、氏名(しめい)を授かる。別の漢字では、使う命とかいて「使命」。名前を授かって生まれてきたということは、その人がその人にしか果たすことのできない役割を持って生まれてきたことだ。その役割を生涯かけて求めながら、精いっぱい世のお役にたって参ります、と誓うことが「祈り」となる。
 祈りとは第一に、日頃守られていることに、ありがとうと感謝の祈りを捧げることである。第二に、与えられたものを精一杯使いながら世の中のお役にたつとい誓いをすることだ。第三は、公の祈り。皆のことや国のことを祈る。そして何より、日本人であれば、皇室の安泰、天皇皇后両陛下のご健康とご長寿を祈ることが祈りの本質である。
 私たちは公の祈りを各神社に於いて捧げることが大事なのだ。その大元の伊勢神宮に於いては、感謝の祈り、お誓いをすること、公を祈ることが大事であり、「自分のことを申し上げてはいけないよ」という言い方をしてきたわけだ。そうした精神というものを我々は大事にすべき、学ぶべきである。


●神話の心髄は、天孫(てんそん)降臨(こうりん)(=天照大神様の孫が地上に降りた)

 私たちの国、日本は、元々どういう国としてやっていこうとした国なのか。その大元になっているのが、神話であり、ここを紐解かないと大事なことが見えてこない。因幡の白うさぎ、ヤマタノオロチ、天岩戸開き等々の神話があるが、現代においてあまり伝わっていないことが残念だ。
神話の一番の元となっているのが天孫降臨だ。これは、天照大神様が孫の瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)に「地上の国、豊芦原瑞穂(とよあしはらみずほ)の国をあなたが治めなさい」、「治めるにあたってはまずあなたが立派な人になりなさい」と命じた。自分が立派になれば、周りも人も素晴らしくなり、その分だけ国も立派になると説いた。


●徳で統治する「しらす」が日本流。世界標準は侵略の「うしはく」

 このように、深い慈愛の心で国を治めることを「シラス」という。正反対の言葉は「ウシハク(領く)」だ。
 世界のほとんどの国は、侵略の歴史だ。イギリスもオランダもスペインもベルギーも、中東国家の国々も国の成り立ちは、みな、ウシハクだ。
 後から入ってきた国がすることは、歴史を書き換えることだ。前にいた人たちを追い出して自分たちが王権を打ち立てるわけなので、前にいた人たちがいかに酷い人たちだったか、後から来た自分たちがいかに正しいか、と書き換えないと、自分たちの正当性が疑われるからだ。
ウシハクが、世界の標準だ。日本は諸外国から支配を受けたことがないので、その事実を知らないだけだ。だから、我々は、後から書き換えられたものが正しいと思い込んでしまいがちだ。今、子供たちはいかに祖先が間違っていたかという後からの歴史像で教えられてしまい誇りを失っている。誇りを取り戻すためにも、本当はそうではない、ということについて見つめていく必要がある。


●天皇陛下が誰よりも国民を思われるお姿が、日本の国柄を作った

 徳の高い人になって行けば、必ず国が治まっていく。そのことを忘れないために天照大神様は孫のニニギノミコトに、三種の神器を授けられた。鏡と剣と勾玉。すべて磨くものだ。何を磨くか。自分を磨く。

 「世直しは/余直しである」
 世の中が悪い、と言う前に、まず自分自身はどうなのだと問いかけていくことが大切だ。会社に於いても、家庭においても言える。経営者が良くなければ、会社は良くならないし、親が良くなければ、子は良くならない。
国も同じ。「天皇の位に就く者が誰よりも自分を磨いていかなければ国は治まらない」と天照大神様は孫のニニギノミコトにおっしゃった。
 もし、天皇陛下が、どこかの国のように、自分のことしか考えず、傍若無人の限りであったら、「天皇があんなだから自分たちだって好き勝手にすればいい」という風潮になってしまう。
 国の中心に立たれる天皇陛下が、誰よりも国民のことを思われる、そのお姿を示して来られたことが、私たちの国民性、国柄となっている。

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